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A kite dancing in a Hurricane

風の向くまま気の向くままに色々なことを。

「The Butcher of Ark」第8巻翻訳

チャプター8:マスク

3ヶ月も過ぎると、カリアンはわたしのことを、ブラックライブラの一人前の兄弟にする儀式を執り行うに相応しいと考えるようになった。
彼は、わたしは今やその本質を知っているのだから、この道を本当に選びたいのかどうかを聞いてきた。
わたしが留まっているという事実が充分に答えとなっていた。
結局のところ、他に何をなすべきなのか?

わたしは未知なる恐怖から逃げ出し、それがどこから来たのかを見つけるために、かつての生活を後にした。
あなたたちにはばかばかしく聞こえる事だろうが - わたしは、カリアンとその火に、正しき道を見つけたという感じを得たのだ。
わたしたちはライブラのしもべとして生まれたと、ある晩に彼は語った。
しかし、わたしたちの決意を認めるのはわたしたち次第だと。
彼の打ち明けたところによると。彼自身は貴族の息子だという。
わたしとは違って - 彼は生まれたその年のことを覚えているそうだが、いつも自分が別の誰かになるという漠然とした感じを持っていたそうだ。
彼の心の中にもまた、説明の出来ない何かが隠されていた、そして彼もまた、その何かが意識の臨界点を超えた一瞬の出来事があった。
初めての浄化は決定的な経験だった:復讐のために敵対する一族によって暗殺者が雇われたのだ。
彼女はメイドに変装して、部屋に入ってきたが、彼はそれを見破り、雇われ殺人者を打ち負かした。
彼女の罪の味は、彼の最初の一歩だった。

その後に彼を待ち受けていた他の障害については何も話さなかった。
ただわたしは、自分がそれを乗り越えようとしていることだけは知っていた。
わたしは長い間、その不確かなものを気にもしていなかった。
わたしは多くを学び、人生で初めて、特別な誰かのように感じた。
通りにいる誰もが愚か者のように思えた!
無知に満ちた彼らは、平凡な生活を送り、神々に祈り、道の遵守や信心だけが深遠から彼らを守る事ができると信じていた。
悲しいかな、彼らはだまされているのだ!
わたしたちには、自分たちを罪から守るという義務から、自分たちを解放するだけの力はない。
わたしたちだけが、降伏した相手、弱々しく行動した時を見定めるのだ。

人々は、自分たちのことで責任を負いたくないのだと、友であるカリアンはかつて言った事がある。
彼らはそうしてこなかったと。

よりいっそう、わたしは世界をゲーム盤のように見始めた。
わたしたちとは関係の無い星々や自然、あるいは神々がルールを定め、今や人類がそれに対処しようと四苦八苦してる様を楽しく観察しているのだ。
もしかして彼らはこの世の流れから誘惑や罪を取り除く力を持っていたのだろうか?
わたしは知らない。
しかし悪が優位に立つことは想定されていなかった、そしてそれこそが、わたしたちがわたしたちである理由なのだ。

盲人の中にある晴眼者というのは高揚感でもあった。
かつての生活においては何度も。わたしたちの世界では正義がほとんど見つけられないということに無力さや怒りを感じていた。
何度も - あの小さな村でさえ - わたしは犯罪を犯した罪深い男が、その地位や名声、金によって処罰を逃れ、一方で路上生活者が鶏を盗んだ事で地下牢に放り込まれたところを見てきた。
このような出来事はわたしにはつらいものだった、しかしこれは単に世界のありようなのだと思っていた。
しかしブラックライブラは全てを変えた、そしてその一部になるという考えは、わたしの理解の及ばない形で、わたしを勝利の喜びや幸福感で満たした。
これがわたしの不安の原因だったのだろうか?
わたしこと、皮なめしの息子ヤエルは、いつも本当の運命を感じていたのだろうか?
世界に正義をもたらすために?

今でも、ライブラの狂気を理解した後になっても、わたしはこの質問に答える事ができない。
その時は正しい事だとわかっているだけだった。

あなたたちの考えるかもしれないこととは違って、わたしたちライブラの兄弟は犠牲者を恣意的に選ぶ事はない。
堕落者があまりに多くの罪を背負った時、殺害のためのメンバーに手紙で"任務"のことが知らされる。
その場所や状況に関係なく、手紙がどうやってたどり着けるのかわからない。
そこには二つの情報しかなかった:スケッチと名前だけだ。
他の要素 - さらなる情報収集や暗殺計画は - 選ばれた者の仕事だった。

わたしの儀式の前に、カリアンはそのような手紙を4通受け取り、わたしはその仕事のうち3つを目撃した。
あなたがたには、わたしがそんなことを書くのにどうしてそんな無関心なのかを不思議に思うかもしれない、しかし先に述べたように、人の心が適応できない状況などまずありえないという事だ。
そしてわたしは浄化に適応した。
彼らはいつも理にかなっていたが、いつでも残酷に思えた。
わたしたちが殺した相手は誰であっても堕落していて、富や狡猾さで正義を回避できていた。
しかし彼らはわたしたちを逃れられなかった。
ライブラは、エンデラル人やライトボーン、おそらくはその歴史よりも古かった。
誰も、どこの王子が、どの神が、どんな姿無き存在がこれを操っているのか知らず、誰も、選ばれた者が一般の人々とどう違うのかも知らなかった。
たとえ出来たとしても、わたしはこの件を調べる事はしなかった。
なぜわたしがカリアンと会ったのか、あの奇妙なビジョンの根源はとこなのかは気にもしなかった。

わたしの血にひそむ炎により、わたしはもう単なる誰かではなかった。
わたしは特別だった。

~



それはまさに、3ヶ月の後に馬車の中でカリアンの隣に座ったときに感じたものそのものだった。
時が来た、そう言われたのだ。わたしはようやくひとかどの存在となった。

価値がある...わたしは窓から外を眺めたかったが、黒い布でおおわれていた事を思い出した。
室内に差し込む光は無く、天井のランタンだけがいくばくかの明かりを発していた。

"これになれる必要があるだろう"、カリアンが言った。"わたしも拠点の場所を知らないんだ。"

"拠点?"

"要塞だ。我々の寺院さ。大陸ごとに一つあるが、誰もその場所を知らない。"

わたしはうなずいた。"わたしがスパイなら、その隠れ蓑を暴く事ができるね。"

"君はそうしないだろうな"、カリアンが応じた。
"ブラックライブラは、禁じられた思想が消される事がないのと同じくらいに、滅ぼす事はできない。
法によって妨げたり、文書を燃やしたりする事はできる、しかしそれは消える事はない。
この儀式は君の忠誠心を試したりしない"、彼は続けた。
"もし忠節でなければ、ずっと前に君を殺していただろう。"

"それじゃあこれはいったい?"

"限界についてだ。"
彼は一瞬、言葉を整理するかのように動きを止めた。
"君はもう、限界を突破したと信じている事だろう、しかしまだだ。
もっと深く潜るんだ" - 彼は人差し指でわたしの眉間を指差した - "まだそれはある。"

"ライブラに完全に自分自身を捧げた我々は、我々は他の者たちと違うのだ、ヤエル。"

わたしはうなずいた。"火だ。"

"そうだ、火だ。だが間違ってはいけない - 君はまだ全てを知らない。その力に導かれ、その声を内に感じる、そしてとりつかれた者の罪を味わった。
しかしそれは、ライブラの真の従者を構成するもののほんの一部でしかない。"

まるで火がカリアンの言葉に同意するかのように、腹部がちりちりとした。
その言葉が脳内にこだました。
わたしは、自分とこの仲間 - そして指導者の間にはまだ距離がある事を感じた。
はっきりしていること - 彼の巧みな殺人と自信 - とは別に、わたしには説明の出来ないことがあった。
それを考えれば考えるほど、わたしにはそれが、彼の視線にある何か、世界の見方についての何かだとわかった。
"はっきりさせたい"という言葉が脳裏に浮かんだ。

"それで、それはいったい何なのですか?"、わたしはとうとう質問した。

"無限だ"、彼は答えた。"全ての解放だ。"

わたしの混乱した表情を見ると。彼は微笑んだ。
"それこそが見つけられずにずっと探してきたものなんだ。わたしたちはみんなそのために努力している、しかしそれを経験する運命にあるものはほとんどいない。"
彼は後ろにもたれかかり、足を組んだ。
"そして君は、その一人になるチャンスがある。"

わたしは、カリアンがそれ以上話すつもりはない - 話せない - ことを知っていたから答えなかった。

一時間ほどで到着した。
夕方に言葉もなくわたしたちを拾った無言の御者は、扉を開けたが、右手に黒い布を下げていた。
外は星々のはっきりした光の他はなにもわからなかった。
カリアンは両手で布を受け取った。

"すまないが、これは必要な事なんだ。"

彼がしようとしている事がわかり、抵抗しなかった。
布が頭に静かに滑り落とされ、全てが真っ暗になった。
カリアンがわたしの手を取り、外へ導いた。
歩き始めると、ばりばりという音が聞こえた。
雪だ。

"こっちだ"、仲間の声が聞こえ、左手が少し引っ張られるのを感じた。

彼に付き従った。

30分ほど過ぎて、わたしは初めてライブラのエンデラルにある砦に足を踏み入れた。
足音のこだまが、一種の洞窟に入った事を示していた。
しばらくして、幾つもの他の声がわたしたちのものと混ざり合うようになった。
わたしは座るように言われた。
目隠しは外されたが、ベルの音が聞こえるまでは目を開かないように命じられた。
"よく見ることだ"、声と足音が消えて、大きな扉が閉められる前にカリアンはささやいた。

わたしは素直に目を閉じたままいた。
明るくベルの音が鳴り響いた。

わたしは大きな丸い部屋にいて、高い壁とドーム状の天井があり、わたしには礼拝所の中のように思われた。
多数の真っ赤な火を放つロウソク立てと、背の高い均等に間の開いてる柱が対称的に反対側まで伸びている以外には何もなかった。
チラッと見ただけで、壁の絵に気が付いた。

その絵は、エンデラルの寺院で慣れ親しんだものとは異なっていた。
そこには聖人だの開拓者の旅の12の段階のことなど描かれてはいなかった。
9枚の異なる絵から出来上がっていた。
わたしは隣の絵を調べるために左に頭を向けた。

それは丘の上まで伸びている不規則な石の道に立つたくましい男が描かれていた。
彼は下帯以外は何も身につけていなかった。
周囲は荒れ地でツンドラのようであり、明るくはっきりとした月明かりで煌々と照らされていた。
その男は視線を月から逸らしていた。
彼は簡素な鋼のマスクを被っていた。
そこには装飾も無く、たった二つの視界のための細い隙間があるだけで、しかしそこには言い知れぬ形でわたしを魅了する何かがあった。
そう...完全さとでもいおうか。
男の体の筋肉はあらゆる点で引き締まっていた。
空に両手を伸ばしていたが、それはまるで神の祝福を期待しているかのようだった。
わたしはその絵をいつまでも見続けた。
そこにはオーラとでも言えるような何かがあり、わたしに喜びと不安を感じさせた。
数分して、絵の下の隅に小さな文章があるのに気が付いた。
それを読むために目を向ける。
ルネッサンス。

わたしはもう少しだけ絵を見続けたが、眉をひそめて目を逸らした。
その絵は魅力的だったが、その意味する所がわかってなかったにしても試練を行わなければならなかったからだ。
だから視線を外して、待った。

しかし何も起きなかった。
不安を感じ始めていた。
わたしに何を期待しているのだろうか?
背後を自信なさげに見た - 鋼の扉は閉ざされていた。
もしかして忍耐力を証明するのだろうか、わたしは頭を落ち着かせようとした。
また視線を下げて、カリアンが教えてくれたように瞑想しようとした。
5分が過ぎた。
そして10分。
何も変わらない。

胃がごろごろと鳴るのを感じ、急ぎ出立する前に何も食べなかった自分を馬鹿だと思った。
ちょっと足を伸ばしてみようか?
誰も気にしないことは確かだ。
立ち上がると膝が鳴った。
ふくらはぎは、座ったままでいるよりは心地よかった。
まるで観察者が突然の動きで気分を害するんじゃないかというように、わたしは注意深くゆっくりと部屋中を歩き回った。
わたしは、奇妙で謎めいた声による不安からの解放や、他の人の登場を願った。

それは無駄であった。
二時間が過ぎたが、ホコリの一粒さえこの聖なる場所では動く気配も無かった。
そうしてようやく、誰も現れないだろうことに気が付いた。
この試練がどんなものであれ、わたしは自分自身で行動する事を求められていたのだ。
しかし何をするべきなのだろうか?
このテストに受かる道は、背後の扉を抜けていくことではないことは確かだった。
だからわたしは、部屋に隠された手がかりを見つけようとしてみた。

わたしは無力さを感じ始めた。
これは何なのだ?
わたしの意志力を試しているのか?
まったくのナンセンスだ、怒りさえ沸いてくる。
扉まで戻ってノックするという衝動を抑え込む。
テストに受からなかった者たちを彼らはどうするだろうか?
予想はしていたが、それ以上知りたいとは思わなかった。
カリアンはわたしに警告すべきだったと思わざるを得ない。
あるいは、少なくとも彼は...

『よく見ることだ』

わたしは立ち止まった。
あれが手がかりなのか?
しかしどういうことだ?
この部屋は空っぽだ。
だが...絵が。
もちろん - どうしてそれが見えなかったのだ?
絵を単なる装飾とみなしていた。
どうしてこの試練の鍵がそこに隠されていないと?

急いで振り返って、扉の右の絵の前で立ち止まった。
もし絵がつながりを持っているなら、あの男を描いている左の絵 - ルネッサンス - あれが最後の絵であり、これが最初の絵に違いない。
疑念にまみれながらもその絵を観察する。
それもまた、裸の男を描いていたが、傍観者のように見えた。
彼はルネッサンスの男のようにマスクを被っており、それほど筋肉質ではなくとも、同じ人物のように思えた。
しかしマスクは違っていた。
それは薄く肌色をした布から作られていて、わたしにはそれが第二の皮膚のように思え、きつそうで、死に行く老人の肌のようにひび割れていた。
言い知れぬ嫌悪感を覚えながら視線を逸らさずに、絵の他の部分を観察した。
最初、男が立っていた所の反射している表面は磨かれた石の床だと思ったが、それはただの水だと気付いた。
男の周囲は立ち込める霧と数本の松の木で覆われ、超現実的な方法で水面を漂っているという景色を見せていた。
これはどういうことなのだろうか?
しばらくの間、わたしは画家の芸術的なブラシの運びを堪能した。
その絵は油絵の具で描かれていたが、奇妙にも生きているかのようであった。
この世の画家の中でこれほどの知識を持っている者はどれだけいるだろうか?
多いとはいえないだろう。
その絵にも文章があった。
リンバス。
わたしは眉をひそめた。
神秘術師は、人の精神の許容を越える過負荷の後の混乱状態をリンバスと呼んでいた。
わたしはその言葉について考え、頭を振って次の絵に移った。

絵は巧みに、互いに織り交ぜられていた。
2枚目の絵は、最初の絵の霧から浮上していて、鳥の視点から天を描いたものだった。
雲は立ち上る煙のようで、淡い赤色の地平線の荘厳な光の中に描かれていた。
中央には男のシルエットがあった:彼は絹の糸で空からぶら下げられており、さながら神の操り人形のようで、口は大きく開かれ、叫び声を発しているかのようだった。
この絵もまた謎めいたタイトルだった:洗浄。
この名前はわたしの中の記憶を呼び覚ました。
この名の儀式について読んだ事がなかったか?
そうだ...確信した、キラ人の、赤き山を捜し求めた時の放浪の旅だ。
彼らは出立の前に、聖なる川の一つで象徴的な浄化を行わなければならない、それは言い伝えではそれまでの自分を捨て去るためだという。
新しい始まりであり、いわば霊的な浄化だ。
これがこの絵の意味する事だろうか?

急ぎ周囲を見渡した。
まだ一人きりだった。
次の絵も同様に、前のものが織り込まれていて、裸の男が泥に塗れて水につかりながら、海岸へ向かって足を引きずりながら歩いており、おそらくは霧に覆われた海からやってきたのだ。
そのタイトルは"第一の種"。
太陽がその人の体を照らし、その光がまた次の絵の基礎になっていて、次の絵はわたしに恥ずかしさを思い起こさせた。
それは取り残された男をあらわしていて、先の絵より今やより筋肉質かつ栄養充分に見え、女性と性行為をしていた。
彼の肌は汗の為に艶やかで湿っており、その胸には飛び散った血が輝いていた。
彼は布のマスクを被っており、その下には魔性の笑いが見られた。
男と性行為をしていた女性は、彼に背中を向けた。
彼女は型破りな方法で様式化された。
その長く編みこまれた髪は黒いパールの連なりのように背中にたらされ、二本の角が額から現れた。
彼女の顔は認識できなかった。
その二人の状況は肉屋に良く似ていた。
床には血溜まりがキラキラとして、男の足元には死体が転がっている。
わたしはひざまずいてその絵のタイトルを読んだ:第一の炎。

その最後の言葉を読んだときようやく、目からうろこが落ちたように感じた。

そうだ、ヤエル...これは成長だ、脳裏を貫いた。
変化だ。

最初の絵の男が霧の層を抜けたのが、偶然なのか計画的なのかはわからない。
しかし疑いようが無かった:それはわたしだった、ビジョンが心に浮かぶ前のわたしで、我が家と呼び、わたしの人生は真の決断のはるか後方にある事をいつも知っていた、特色の無い平凡な生活を送っていた時のわたし - "リンバス"だ。
"洗浄"は、わたしをそんな生活から引き剥がしたビジョンに他ならない、"第一の種"はフォッグヴィルからの脱出だ。
そして"第一の炎" - 冷たい身震いが背筋を駆け下りる - わたしの最初の殺人だ。

次の絵を見た。
つる植物の生い茂った寺院の中庭にある枯れた泉の前に座っている男を描いていた。
布のマスクの代わりに、今度は非常に薄手の金属製のマスクを被っており、しかし顔はまだその下に隠れていた。
彼の横には、赤い燃えるような髪の女性が座っていた。
その絵は"コンパニオン"と題され、すぐにその意味を理解した。
カリアンが女性でなくとも、最初の会話が美しい遺跡で行われなかったにしても、疑いようも無く、わたしが最初に炎と出会った後に経験した混沌から救ったのはカリアンだった。
このどれもが偶然でなかったとしたら。
カリアンは、わたしが潜在的な兄弟だと、わたしの血管には炎が流れていることを知っていたのだろうか?
わたしが居酒屋に入った時の彼の好奇に満ちた視線は、これが事実だと示唆していた。
これまでの絵がわたしの成長を示しているのならば、この後の絵がこの試練に通過する助けになるかもしれない!

わたしはこの試練を続けたいという考えに急ぎ足になった。
次の絵が示すものをうすうすと察し、期待通りのものが出てきた。
その題は"炎の雨"で、そこには未知なる男と赤い髪の女性が戦場にいることを描いていた。
もっと頑丈そうな彼のマスク、薄暗い世界、覆い尽くす不吉な雲、そして消えかけている3本の太陽光による3つの穴が、そのイメージに一大変異した状況をもたらしていた。
男と女は背中合わせに立っていた。
女の表情は欲望と闘争を表していた。
血まみれの体と、不均等にして額の無い顔がそこいら中に点在していた。
この絵は疑う余地も無く、アンダーシティのカリアンの教えでの出来事を象徴していた。
次の絵は、男に手を差し伸べている女性を描いていた。
これまでの絵を知らなかったなら、おそらくそれを派手なものと評していただろう。
休息の時だ。
心臓がどきどきしていた。
絵とわたしのこれまでの経験の間の類似点はここで終わっていた。
カリアンの"見習い"と表現できるこの"休息の時"の後。わたしはこの試練に連れて来られた。
この謎に対する解答は、続く2枚の壁画にあるはずだった。
目が疲れてきていたので、柱の影に隠れていた次の絵を見た時、少し震え始めた。
"現在"。

男は円形の部屋にいた。
彼の顔はまだ鋼のマスクに覆われていたが、ホールのロウソクの光で、金属部分が全面ではないことがはっきりと見てとれた。
いや...男の顔はまだほとんどはマスクの下であったが、弱っているように見えた。
言葉に出来ない嫌悪感がわたしの中で膨れ上がってくるのを感じた。
裸の男が大きなホールの中央にひざまずいて、病的で哀愁を帯びた顔は絵の天井方向を向いており、腕は弱々しく脇に垂れ下がっていた。
体は滑らかで輝いており、肌は茶色い汚れで覆われていた。
なんだ...?

それと気付くとパニックになった。

その絵を見つめた。
最初は、わたしの目が見たものを信じられなかった。
近付いてよく見た時、疑いは精密なブラシの運びによって打ち消された。
一見しただけでは自分を欺いていたのだ。

その男の体を覆う汚れは、茶色ではなく赤だった。
それは泥や汚れではなく、血だった。

水平な切り口が男の喉を切り裂き、血が流れ落ちていた。
ようやく、彼のおぼつかない手から間違いなく滑り落ちた、左隣にある小さなものに気付いた - 短剣だ。

無意識に視線を逸らして後ろへ下がった。
いいや、わたしは考えた。
いや、これ以上考えなくとも絵のメッセージはわかることだった。
わたしは自分を殺す事になっていた。

その瞬間にどう感じたかは言葉に出来ない。
わたしは、油絵の分身のように自分を裸にすることをとてもためらったが、結局その通りにした。
そうしなければならなかった。
祝福を期待する信者のように、部屋の中央にひざまずきたくなどなかったが、それでもやった。
人生においてこれほどの不安を感じた事はない。
短剣を喉に当てた。
心の中に、最初の殺人で増幅された嫌な、引き裂くような音がした。
そう...正しい心を持つ者は誰も、震える手、閉ざされた目、冷たい汗の流れる体で、
自らにナイフを使ったりしないだろう、しかし彼の者の目は悪夢から覚めようとする子供のように閉ざされていた。
だが正しい心を持つ者は、このようなビジョンに従ったりなどしないだろう。
正しい心を持つ者は、馬小屋での罰を受け入れ、打撲や裂傷を負ったままさまよった事だろう。
そして正しい心を持つ者は、ブラックライブラに選ばれなどしないだろう。

わたしは目を閉じ、武器の柄を震える手で握り締めた。
その瞬間、わたしはどうにかしてこの馬鹿げた悪夢から目を覚まし、地面に冷たい鋼の刃を落として、立ち上がって逃げたくて仕方なかった...

無限なんて...

わたしは切り裂いた。
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